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Room11(その1)
この学校のクラスの高学年、中学年のクラスはほとんど回りおえた頃、私は一つの2年生のクラスを尋ねた。このRoom11は少し異色で、担任の先生が二人いるのだ。どっちが担任で、どっちが副担任ということはなく、どちらもメインの担任であり、片方の先生は午前中、そしてもう一人の先生が午後にクラスを担任するというシステムになっている。
午前中の先生はほんとに小柄なのだが、声はとても大きく、かなり個性的な人。午後の先生は大柄な人で、美術的なセンスがある人、この先生はいつも教室の壁をかわいく飾りつけられている。
子どもたちはこの時23人、男の子が三分の二を占めており、韓国人の子が三人、中国人の子が一人、サモア、フィジー等の島々からの子も数人いる。クラスの半数は英語以外の言葉も話せるのだ(こういう風に国際色豊かなのは別にこのクラスに限ったことで |
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はない)。二年生なのでほとんどは六歳だが五歳の子も七歳の子もいる。
Room11での初日は特に大きな手伝いもしなかったように思う。子どもの名前も2,3人覚えたくらいだった。
このクラスでこの後何ヶ月もの間手伝い続けることになるとはこの時は思いもしなかった。 |
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Room11(その2)
Room11の先生は二人とも勇気がある。突然現れた英語もあやふやな日本人に5〜8人くらいの子どものグループを与え、英語やら算数やらの指導を任せてこられるのだ。ちょっと目を閉じて想像してもらえればと思う。日本語の通じない6歳くらいの子どもたち5〜8人前をに、ひきつった笑顔の日本人の男が座っているのだ。そして子どもより英語の下手な男が、その子どもたちに英語を教えようとしている。あつかましいことこの上なしなのだ(・−・; 担任の先生がすぐ横に座っていて助けてくれるわけでもなく、自分が何か指示しないと何も始まらない。
最初はほんとに大変だったのだが、この日を機会に毎日毎日何かが変わりだし、次第に余裕もでてきた。日本のことを教えるのではなく、こっちの先生と同じようなことをするようになり、英語、算数に限らず全ての教科に関わるようになった。 |
転校(その1)
Room11には韓国人の子どもが三人いたが、そのうち一人だけが女の子であり、このクラスの中で英語がうまく話せないのもその子だけだった。作文の時間などは韓国語と英語をまじえながら書いていたが、絵がとてもうまい子だった。またあんまり感情を |
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表に出すほうではなく、言葉の壁もあり、学校はあんまり好きではないのかなという印象があった。
ある週の金曜日のことだ。その子のお母さんが朝教室に入ってきて、その日を最後にその子が転校するということを伝えてこられた。急に決まったらしい。その子のお母さんとちゃんと話したのはそのときが初めてだったが、私のことを本当によくご存知だった。その子は家に帰ると、学校であった楽しかったことや私のことを詳しくお母さんに話していたらしいのだ。そしてお母さんは丁寧に私にお礼を言って下さった。
お母さんと私が話している間、その子はお母さんの後ろに隠れながらちらちらとこっちを見ていた。 |
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